類天疱瘡(pemphigoid)

口腔外科学

類天疱瘡とは?

・基底膜に存在する接着因子であるヘミデスモソームの構成タンパクであるBP230とBP180に対する自己抗体により、皮膚や粘膜に上皮下水疱やびらん、紅斑を引き起こす2型アレルギーに分類される水疱性疾患である

・類天疱瘡には、水疱性類天疱瘡(主に皮膚症状)と粘膜類天疱瘡(主に粘膜症状、または眼症状)、後天性表皮水疱症(水疱性類天疱瘡と鑑別困難)とが存在する

類天疱瘡の原因

・水疱性類天疱瘡:基底膜に存在する接着因子であるヘミデスモソームの構成タンパクであるBP230とBP180に対する自己抗体

・粘膜類天疱瘡:BP180やラミニン332に対する自己抗体

・後天性表皮水疱症:基底膜タンパクであるⅦ型コラーゲンに対する自己抗体

類天疱瘡の疫学・特徴

・60歳以上に好発し、特に70~90歳代の高齢者に多い

・水疱性類天疱瘡では、全身や四肢に痒みを伴う浮腫性紅斑や緊満性水疱、びらんを生じ、ときに口腔粘膜にも水疱やびらんを生じる

・粘膜類天疱瘡では、主に口腔粘膜に水疱やびらん、浮腫性紅斑を生じる

・大部分は水疱性類天疱瘡に分類される

・粘膜類天疱瘡では主に眼粘膜や口腔粘膜に水疱やびらんが生じる

・後天性表皮水疱症は、水疱性類天疱瘡と区別することは困難

類天疱瘡の検査

・蛍光抗体直接法:基底膜部にIgGの沈着

・免疫ブロット法:BP230とBP180への反応

・ELISA法:BP180/BP230のリコンビナント蛋白を使用

類天疱瘡の病理組織像

・基底細胞直下に水疱が形成される(上皮下水疱)

・Tzanck細胞はみられない

類天疱瘡の口腔内所見

類天疱瘡の治療法

・治療方針は、重症度により決定される

・中等症まで:副腎皮質ステロイドの全身投与、テトラサイクリン・ニコチン酸アミド療法併用

・重症:ステロイドパルス療法、免疫抑制剤内服併用、血漿交換療法併用

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