内毒素と外毒素の違い

細菌学
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内毒素(endotoxin:エンドトキシン)

内毒素とは?

・グラム陰性菌の細胞壁の外膜の成分で、o-抗原多糖+コア糖鎖+リピドA(毒性の中心)の構造をもち、外毒素と比べ抗原性は低いが耐熱性をもつのが特徴である

・菌体が破壊されると遊離し、発熱作用や補体の活性化、エンドトキシンショックを誘発するなどのさまざまな反応を引き起こす

内毒素の構造

・o-抗原多糖

・コア糖鎖(外部コア、内部コア)

・リピドA(リン脂質):Nアセチルグルコサミン(GlcN)のニ糖と水酸化脂肪酸と の複合体

内毒素の特徴

・抗原性は低く、耐熱性がある
・発熱作用、補体の活性化作用、B細胞の活性化作用、顆粒球機能の亢進作用、血液凝固作用
・血管障害によるエンドトキシンショック、DIC、敗血症
・Shwartzman反応(シュワルツマン反応の覚え方:LPSのSがシュワルツのS)
・宿主の受容体に作用する

内毒素を持つ細菌の種類

・大腸菌、コレラ菌、緑膿菌、サルモネラ菌、赤痢菌、チフス菌、ペスト菌、百日咳菌、ピロリ菌、髄膜炎菌など

外毒素(exotoxin:エクソトキシン)

外毒素とは?

・細菌が菌体外に分泌する毒素で、毒性が強いタンパク質である

・易熱性のため熱やホルマリンによってトキソイド化しワクチンがつくれ、トキソイドは破傷風やジフテリアに実用化されている

外毒素の特徴

・抗原性が強く、易熱性である
・臓器特異的に作用する

外毒素の種類

神経毒(neurotoxin:ニューロトキシン)

・ボツリヌス菌のボツリヌス神経毒素 (botulinum neurotoxin)

【作用機序】神経筋接合部に作用し、アセチルコリンの分泌を抑制することで呼吸筋や弛緩性麻痺や骨格筋の弛緩作用を示す

 ちなみに、ボトックスは上記作用機序を利用し、米国アラガン社が眼瞼痙攣や顔面痙攣に対して開発した商品であり、歯科領域では歯ぎしりや噛みあわせに対する治療、顎関節症に対する治療、シワ取り、ガミーフェイス改善などに使用されている。

・破傷風菌の破傷風毒素(tetanospasmin:テタノスパスミン)

破傷風菌は、外傷や手術創から侵入し感染する。感染した破傷風菌が出すこの破傷風菌毒素により強直性痙攣や呼吸筋の麻痺が引き起こされ、死に至るときもある。

腸管毒(enterotoxin:エンテロトキシン)

・ブドウ球菌のエンテロトキシン(耐熱性)

・ウェルシュ菌、セレウス菌、サルモネラ菌のエンテロトキシン(易熱性)

・コレラ菌のコレラ毒素

・病原性大腸菌の易熱性毒素

・赤痢菌の志賀毒素 

溶血毒

・レンサ球菌のストレプトリジン-O、S など

その他毒素

・ジフテリア菌のジフテリア毒素

・百日咳菌の百日咳毒素

・A.a菌の白血球毒素(ロイコトキシン)

・黄色ブドウ球菌のTSST-1など

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