正中埋伏過剰歯

小児歯科学

正中埋伏過剰歯とは?

・上顎前歯部に好発する過剰歯のことであり、定期健診や矯正治療開始時のレントゲン撮影時に偶然発見されることが多い

・適切な抜歯時期などについては明確な見解が得られていないが、抜歯するタイミングが非常に重要である

・なぜなら、逆生過剰歯の場合は早期に抜歯を行うことで、骨削除量を減少することができ、手術侵襲も少なくできるからである

・順生過剰歯の場合は、自然萌出を待ちながら経過観察を行うことで、手術侵襲や骨削除量を減少することは可能であるが、萌出による隣在歯の捻転や歯根吸収、正中離開などの影響も考えられるため十分に留意して経過観察を行うことが必要である

正中埋伏過剰歯の検査法

・パノラマX線にて歯数の確認を行う

・咬合法による偏心投影法により、頬側に存在するかか口蓋側に存在するか確認する

・歯科用コーンビームCTにて3次元的位置関係を確認する

正中埋伏過剰歯のレントゲンおよびCT所見から確認するポイント

・まずは本当に埋伏過剰歯であるか永久歯の数を正確に数えたあと埋伏過剰歯であることを確認する

・その後、埋伏歯の数とその3次元的位置および方向(順生または逆生)、埋伏の深さ、隣在歯の根尖との関係性(臨在歯の根尖は吸収していないか、癒着していないか)、鼻腔底や切歯管との位置関係などを確認する

正中埋伏過剰歯による悪影響

・隣在歯の捻転および歯根吸収

・正中離開

・歯の交換障害(上顎の永久歯の萌出遅延)

・過剰歯が原因による含歯性嚢胞

正中埋伏過剰歯の治療法

・治療は永久歯の交換期に行うことが多いため、学童期の患者の協力度をしっかりと見極めた上での治療が必要である

・また、局所麻酔下で治療を行うため、手術侵襲に対する患者の痛みの感度や精神状態なども十分に確認しておく必要がある

頬側からのアプローチ

・上唇小帯を含んだ切開を行い、術後の瘢痕収縮を極力避ける

口蓋側からのアプローチ

・DからD程度の大きめの切開線を設定する

・切歯管に留意する

・術後は床副子により創面の保護を行うこともある

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