低位乳歯

小児歯科学

低位乳歯の原因

・乳歯の歯根の骨性癒着による歯槽骨の発育不全がほとんど(歯根膜腔が不明瞭であることを確認する)

・後継永久歯の欠如により正常な歯根吸収が行われないことによる

・隣接永久歯の萌出による圧迫

・外傷や感染による歯槽骨の発育不全

低位乳歯の好発部位

・下顎第一乳臼歯(D┬D)

・下顎第二乳臼歯(E┬E)

低位乳歯の影響

・隣在歯の傾斜による不正咬合の誘発(第一大臼歯の異所萌出)

・対合歯の挺出による不正咬合の誘発

・清掃性の不良によるう蝕の罹患(低位のためう蝕治療も困難になりやすい)

低位乳歯への対応

① 低位が軽度で隣在歯や後継永久歯への影響が少ない場合は、後継永久歯への交換まで経過観察を行う

②隣在歯が傾斜している場合あるいは後継永久歯の萌出に影響があると考えられる場合は低位乳歯の抜歯を行い、隣在歯の整直(アップライト)と保隙(隣在歯の傾斜防止、対合歯の挺出防止)を行う

低位乳歯の抜歯

・あらかじめアップライトしておき、抜歯しやすいようにしておいても良い

・近遠心的な分割抜去により抜歯する(必要であれば頬側歯槽骨一部除去)

*骨性癒着を起こしていることが多いため、埋伏抜歯と同じ手順になることを想定しておく

*X線で歯根吸収の程度を把握しておく

*乳歯は歯根離開度が大きいため、抜歯方向を考慮する

低位乳歯の保隙

・低位乳歯が存在する場合、隣在歯が傾斜している可能性が高く、スペースリゲイニングを行い、保隙を行う必要がある

低位乳歯の例

・左下Eの低位

・左下Dの低位

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