準備固定とは?
・上顎前突の治療(AngleのⅡ級1類)を行う際に上顎前歯のリトラクション(後退)を期待してⅡ級ゴムを用いるときがあるが、このⅡ級ゴムの影響により下顎の大臼歯が近心傾斜し、固定源が喪失(アンカレッジロス)することがある
・この下顎大臼歯の固定源を強化するために、Ⅱ級ゴムを使用する前にⅢ級ゴムを用いてあらかじめ下顎大臼歯の遠心傾斜を行うことを準備固定という
・下顎大臼歯の加強固定の1つの方法ではあるが、3級ゴムとセカンドオーダーベンドにより大臼歯をアップライト(upright:整直)しておくことは矯正治療および咬合状態を良好にするために非常に大切である
・近年では、上顎前歯の後退にはTADs(Temporary Anchorage Device System)を用いることがあり、その場合にはこの準備固定の治療メカニクスは不要となる
準備固定の手順
①下顎のアーチにセカンドオーダーベンドを与えてⅢ級ゴムを用いて下顎側方歯の遠心傾斜をおこなう
②Ⅱ級ゴムを用いて上顎前歯の後退をおこなう