腺様囊胞癌とは?
・緩徐な発育と著名な浸潤性増殖を特徴とする比較的発生頻度が高い唾液腺悪性腫瘍である
・特に顎下腺、口蓋腺に多く発生するが、口底、頬粘膜、口唇などの小唾液腺や舌下腺においても発生する、耳下腺には少ない(その他涙腺、副鼻腔、咽頭、気管、乳腺などにも発生する)
・腫瘍の浸潤性増殖が著しいため、再発や遠隔転移をきたし、予後不良であることが知られている
・浸潤性増殖は著しく予後不良であるのにも関わらず、緩徐な発育という点が非常に特徴的な悪性腫瘍である
腺様囊胞癌の疫学・特徴
・顎下腺や小唾液腺に好発し、小唾液腺では特に口蓋腺に後発する
・40~70歳に多く、やや女性に多い
・悪性腫瘍であるが、発育は緩慢で膨隆する
・転移部位はおもに肺で、骨などにも血行性に遠隔転移する
・再発や転移が多く、長期予後が不良(5年生存率は約70%程度)
腺様囊胞癌の病理組織像
・異型性に乏しい腺上皮細胞と腫瘍性筋上皮細胞が大小の充実性胞巣を形成し、胞巣内には篩状、腺管状の構造を認め、スイスチーズ様とも表現される腺様嚢胞癌に特徴的な病理組織像を示す
・腺上皮細胞で裏装された真の腺腔と偽腺腔を認める
・硝子化を伴う線維性結合組織の間質を認めることもある
・周囲組織への浸潤性、破壊性増殖を示し、しばしば神経線維周囲への浸潤を認める
腺様囊胞癌の治療法
・外科的切除を行うが、予後は不良
*感受性が低いため化学療法は行わない
腺様囊胞癌の例
・口底部にできた腺様囊胞癌
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