過換気症候群(HVS:Hyperventilation Syndrome)

歯科麻酔学

過換気症候群とは?

・精神的な不安や極度の緊張などによって過呼吸になり、それによって引き起こされる呼吸性アルカローシスにより呼吸困難、胸部圧迫感、動悸、四肢抹消のしびれ、めまいや失神など種々の症状を引き起こす疾患である

原因

・不安やストレス、パニックなどの心理的要因による

病態

・過換気となることで、交感神経の興奮と動脈血二酸化炭素分圧の減少により呼吸性のアルカローシスを引き起こす

・低二酸化炭素血症および呼吸性のアルカローシスが基盤となることで、酸素解離曲線の左方移動が起こり、酸素とヘモグロビンの親和性の亢進、末梢組織への酸素供給の低下、蛋白結合型カルシウムの増加、低カルシウム血症、低カリウム血症、脳血管攣縮による脳血流量の減少などにより症状が発現する 

特徴と症状

呼吸器系:呼吸困難、深く早い呼吸、息切れ
循環器系:動機、頻脈、胸部圧迫感、胸痛
消化器系:腹痛、悪心
神経系:めまい、失神、意識障害
筋・骨格系:しびれ(手足のこわばり)、テタニー様痙攣、知覚異常

治療

・バイタルサインのチェック

・できるだけ安心させゆっくり呼吸するように指示(意識的に呼吸を遅くするあるいは呼吸を止める)

・ベンゾジアゼピン系(抗不安薬)の投与

・バルビツール系(抗痙攣薬)の投与

・紙袋や紙バッグなどで再呼気吸入 (ペ-パ-バッグ法)

・気道確保は❌(酸素は多いため意識消失もしない) 

過換気症候群のテタニー様痙攣

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